
大きな地震のニュースを見て、旅行が急に不安になって…。沖縄って地震は大丈夫なの?

沖縄でも2024年に津波警報が出ています。でも、旅行者の備えは5分あれば足ります。実際にあった話から順にお話ししますね
「ホテルで寝ているときに地震が来たら?」「ビーチで警報が鳴ったら、どこへ走って逃げたらいい?」——大きな地震のニュースのあと、予約済みの旅行にふと不安がよぎった方は多いのではないでしょうか。
沖縄でも2024年4月に、台湾付近の地震で沿岸部へ津波警報が出ました。そのとき現地で何が起きたかを知ると、やるべき備えは意外なほどシンプルだと分かります。
この記事では、旅行前の5分でできる備え、地震が来た際のパターン別の行動、そして逆に自宅側が被災して帰れなくなったときの手順をまとめました。読み終えたときには、ぼんやりとしていた不安が薄れて、落ち着いて旅行の準備に戻れているはずです。
- 沖縄でも津波警報は出た — 2024年4月3日、台湾付近の地震で発表(与那国島などで津波を観測)
- 警報を待たない — 強い揺れを感じたら海から離れて高い場所へ、ホテルなら上の階へ
- 車は使わない — 車での避難は渋滞のもと(2024年4月3日に実際に発生)。原則は徒歩+抱っこ
- 旅行前の備えは3つ — 避難経路の確認・緊急速報の設定・家族で「逃げる先」を決める
- 最終確認日 — 2026年7月28日(出典:気象庁・沖縄県・那覇市・沖縄市・観光庁)
「沖縄は地震が少ない」は本当?──2024年4月3日に起きたこと
「沖縄で地震のニュースって、あまり見ない気がする」——そう感じている方にこそ、知っておいてほしい日があります。
2024年4月3日の朝8時58分、台湾付近でマグニチュード7.7の地震が起きました。沖縄県内の最大震度は4。沿岸部に津波警報・注意報が発表され、解除されたのは昼の12時です。与那国島と宮古島で0.3m、石垣島で0.2mの津波が実際に観測されました。
| 時刻 | 起きたこと |
|---|---|
| 8:58 | 台湾付近でM7.7の地震(県内最大震度4) |
| 直後 | 沿岸部に津波警報・注意報を発表 |
| 9:18 | 与那国島で津波0.3mを観測 |
| 12:00 | 警報・注意報がすべて解除 |
出典:沖縄県の発表(2026年7月28日確認)
現地で起きたこと──車で逃げた人が渋滞にはまった
このとき多くの人が車で高台を目指し、各地で渋滞が起きました。沖縄市の防災ページは今も「車避難が渋滞を招いた」ことを記録し、徒歩での避難を呼びかけています。
車を利用していれば、地元の人も旅行者もみんな、とっさに「車で逃げる」を選びがちです。だからこそ、次の備えが効いてきます。
旅行前の5分でできる、3つの備え
特別な防災グッズは要りません。チェックイン前後の流れに、次の3つを足すだけです。
備え1:ホテルに着いたら、客室ドアの裏の避難経路図を見る
「荷物を置いたら、すぐビーチ!」——その前にひと呼吸だけ。客室ドアの裏には避難経路図が貼ってあります。自分の部屋がどこで、非常階段はどちら側か。家族で指をさして確認しておくだけで十分です。
津波からの避難の原則は「より早く、より遠く、より高く」です。ただし海のすぐそばにいて遠くまで逃げる時間がないときは、近くの高い建物の上の階へ逃げます(垂直避難と呼ばれる方法です)。海辺のホテルでは、逃げ込む先が建物の外ではなく自分が泊まっている建物の上階になることもあります。だからこそ、非常階段の位置がそのまま避難ルートになります。
備え2:スマホの緊急速報が鳴る設定か確認する
日本で売られているスマホには、緊急地震速報と津波警報が自動で届きます。ただし通知を細かくオフにしていたり、機内モードのままだったりすると鳴りません。設定アプリで「緊急速報」がオンになっているか、出発前に一度見ておきましょう。
海外から来る家族や友人と一緒なら、観光庁監修の無料アプリ「Safety tips」が心強い味方です。15の言語で、地震や津波の警報をプッシュ通知してくれます(観光庁の紹介ページ)。
備え3:決めるのは「集合場所」ではなく「逃げる先」
買い物中やビーチで、家族が別々の場所にいるときに地震が襲ってきた時は?ここで決めておきたいのは集合場所ではなく、それぞれが逃げる先です。
ロビーやフロントのような1階の待ち合わせ場所を集合先にすると、いちばん危ない高さに家族で集まることになってしまいます。決めるなら「ホテルの上の階」「あの高台」のように、高い場所を指定してください。
そしてもう1つ、お互いを探しに戻らないこと。全員がそれぞれ高い場所へ逃げて、落ち着いてから連絡を取り合います。これは三陸地方に伝わる「津波てんでんこ」という教えです。「てんでん」は「てんでんばらばらに」という意味で、津波のときは家族もそれぞれが自分の判断で高台へ逃げる、という言い伝えを指します。冷たく聞こえるかもしれませんが、探しに戻った人が逃げ遅れる例が繰り返されてきたための知恵です。「お互い必ず逃げているはず」と信じられる状態を、先につくっておくということでもあります。
子供に伝えるのは「地震がきたら海から離れて、高いところへ上がる」「近くの大人の指示を聞く」の2つで十分です。
地震に遭遇したら、どこにいたらどう動く?
どの場面でも原則は同じです。揺れが収まったら、海から離れて高い場所へ。警報を待たずに動き始めて構いません。場面別に見ていきます。
ビーチにいたら
強い揺れ、または弱くても長くゆったりした揺れを感じたら、すぐに行動しましょう。荷物もパラソルも置いたまま、子供を連れて海から離れ、道路側の高い場所を目指します。置いてきた物を取りに戻らないこと。財布もスマホも、あとからどうにでもなります。
ホテルの部屋にいたら
まず揺れが収まるまで、ベッドの脇などで頭を守ります。収まったら非常階段で上の階へ。エレベーターは途中で止まるおそれがあるため使いません。備え1で見た避難経路図が、ここで効いてきます。
レンタカーを運転していたら
ハザードランプを付けて、ゆっくり左に寄せて停車します。津波警報が出たら、そこに車を置いて、自分の足で高い場所へ向かってください。2024年の渋滞が教えてくれるのは、車に乗ったまま動けなくなるのがいちばん危ない、ということです。
水族館などの観光施設にいたら
大型施設には避難誘導を訓練された係員がいます。館内放送と係員の指示に従うのが最短ルートです。人が動き出すと子供とはぐれやすいので、手をつなぐか抱っこに切り替えてください。
街の「海抜◯m」表示、気づいていますか?
沖縄の電柱や公共施設には「海抜◯m」の表示が数多く付いています。海抜表示そのものは東日本大震災のあと全国の沿岸で設置が進んだもので、沖縄だけのものではありません。ただし沖縄では、市町村ごとにデザインがばらばらだと県民が混乱するという声を受けて、県が色や書き方を統一する基準を定めています(沖縄県「海抜表示等に係るガイドライン」)。ホテル周辺を散歩するついでに、いまいる場所の海抜と近くの高い建物を見ておく——それだけで立派な備えになります。

注目してほしいのは、この表示が赤いことです。沖縄では、海抜の高さによって表示板の色が3つに分かれています。数字を読まなくても、色を見ただけで危険度の見当がつくようになっているのです。
| 色 | 海抜 | 板に書かれている指示 |
|---|---|---|
| 赤(白文字) | 5m以下 | 速やかに避難して下さい |
| 黄色(黒文字) | 6〜19m | 避難して下さい |
| 濃い青(白文字) | 20m以上 | 必要に応じて避難して下さい |
色が変わると、書かれている避難の指示まで変わります。赤は「速やかに」、黄色は「避難して」、青は「必要に応じて」。写真の場所は赤の海抜3mなので、いちばん急いで逃げるべき区分ということです。散歩中に赤い表示を見つけたら、そこは低い土地だと考えて、近くの高い建物を探しておいてください。
英語が併記されているのも、この表示の特徴です。海外から来た家族や友人と一緒のときは、指をさすだけで意味が伝わります。なお、この色分けは沖縄県の基準です。ほかの都道府県では色やデザインが違うことがありますので、沖縄以外を旅行するときは数字そのものを確認してください。
「津波避難ビル」という駆け込み先
沿岸の市町村では、津波のときに誰でも避難できる建物が「津波避難ビル」として指定されています。那覇市には専用の津波避難ビルもあり、避難場所の一覧は市の公式ページで公開されています(那覇市・災害時の避難場所)。緑色の避難マークが目印です。
子連れの避難は「ベビーカーより抱っこ」
避難路は階段や坂が多く、人も集中します。ベビーカーはその場に置いて、抱っこで両手を空けるのが基本です。0歳〜2歳の子供と行く場合の持ち物や移動のコツは、赤ちゃん連れ沖縄の完全ガイドにまとめています。「警報が出たらベビーカーは捨てて抱える」と、意識しておくと迷いません。
逆に、自宅のほうが被災して帰れなくなったら?
旅行中の災害には、もう1つの形があります。自宅や実家のある地域で大きな災害が起き、予定どおりに帰れなくなるケースです。自分たちは無事なのに、家族のことも帰りの便のことも一度に心配になって、どこから手をつければいいか分からなくなりがちです。順番を決めておけば、迷わずに動けます。
やることは3つ。この順番で
- ① 家族・親族の安否確認(電話がつながりにくいときは、災害用伝言ダイヤル171やメッセージアプリの文字連絡が有効)
- ② 帰りの便の運航情報を確認(欠航・条件付き運航の可能性)
- ③ 欠航が濃厚なら、いま泊まっている宿に延泊できるかを先に相談(同じ状況の人が多いほど部屋は早く埋まります)
航空券とお金のこと
大規模な災害の際、航空会社は手数料なしの振替や払い戻しといった特別対応を発表することがあります。自己判断でキャンセルする前に、必ず公式の運航情報ページを確認してください。ここで期待しすぎないでほしいのが保険です。
欠航で延泊したときの宿泊費は、対象外になるのが基本だと考えてください。クレジットカードに付いている「渡航便遅延保険」でも、国内線の欠航で支払われるのは食事代まで、という商品が少なくありません。宿泊料金が出るのは、主に乗り継ぎの途中で足止めされた場合です。
そもそも遅延の補償は、一部のカードにしか付いていません。延泊の費用は自分で持つ前提で、部屋の確保を急ぐほうが現実的です。
※2026年8月3日時点。補償の範囲はカードや保険商品ごとに違います(例:アメリカン・エキスプレスの国内航空機遅延費用補償では、乗継遅延は宿泊料金と食事代、出航遅延・欠航・搭乗不能は食事代が対象)。ご自身のカードの補償内容を必ずご確認ください。
ふだんの持ち物に足す「防災の5点」
災害のために荷物を増やす必要はありません。ふだんの子連れ旅行の持ち物に、次の5点を足すだけです。
- ミルク・離乳食・おむつの「1日分の予備」
- 常備薬と健康保険証(コピーでも)
- 母子手帳をスマホで撮影しておく
- モバイルバッテリー
- 小さいライト(停電時の廊下や夜の移動で活躍)
夏の持ち物の全体リストは前編(暑さ・日差し対策)と後編(海遊び・年齢別リスト)にまとめています。
よくある質問(沖縄旅行と地震・津波 Q&A)
地震と沖縄旅行について、よく聞かれる質問をまとめました。
- Q沖縄に大きな地震は来るの?
- A
「来ない」とは言えません。2024年4月にも津波警報が出ています。ただし、旅行者がやっておくことは次の3つだけです。
① 泊まる部屋から非常階段までの道を確認する
② スマホの緊急速報がオンになっているか確認する
③ 家族で「逃げる先(近くの高い場所)」を決めておく
過度に恐れるより「知っておく」が現実的です。
- Q津波警報が出たら飛行機は欠航する?
- A
警報の間は空港の運用や便に影響が出ることがあります。運航するかどうかは状況によるため、利用する航空会社の運航情報ページで確認してください。
- Qホテルは何階以上なら安全?
- A
一概には言えません。立地の海抜と建物の構造で変わるため、原則は「その建物で、いま行ける一番高い階へ」です。チェックイン時に避難経路図を見ておくのが確実です。
- Q地震が不安で、旅行をやめようか迷っています
- A
不安の正体は「何をすればいいか分からないこと」が大半です。この記事の備え3つを済ませたら、あとは旅行を楽しむことに集中して大丈夫です。
まとめ|5分の備えを済ませて、沖縄の旅を楽しんでください
沖縄旅行中に津波警報が出たとき、旅行者がやることは「高いところへ」「車に頼らない」「家族で逃げる先を決めておく」の3つです。「防災の5点」も、ふだんの荷物にそのまま足せるものばかりでした。
地震のこわさは、いつ来るかを前もって知る手立てがないことにあります。だからこの記事の備えは、どれも「起きる前に決めておく」ものでした。
いっぽう、沖縄の旅行でもっと出会いやすいのが台風です。沖縄地方には年に平均7.7個の台風が近づきます(気象庁の平年値)。こちらは数日前から進路が分かるぶん、日程の組み方や欠航したときの動き方など、地震とはまったく違う備えが効きます。
旅行中に台風に当たってしまったときの動き方は、こちらにまとめました。

※この記事は2026年7月28日時点の公的機関の情報(気象庁・沖縄県・那覇市・沖縄市・観光庁)をもとに作成しました。筆者は沖縄在住ですが、防災の専門家ではありません。実際の災害時は、必ず公的機関の最新の発表に従ってください。



コメント